お風呂って、ただ「ふ〜、今日も疲れた〜」と一息つくだけの時間になっていませんか?
実はそのままなんとなくの入り方を続けていると、「デトックスできているつもり」で、体のめぐりはどんどん落ちていく…なんてこともあります。
とくにシャワー中心だったり、短時間でサッと済ませてしまう生活が続くと、体がしっかり温まらず、血流も代謝も低めのままになりがちです。
入浴の温熱作用で体を温めると、血管が広がって血行が良くなり、新陳代謝が高まることがわかっています。
>>疲労回復に導く入浴の効果
一見リラックスタイムのように見えて、実はこんな「もったいないお風呂時間」になっていると、次のようなことが起こりやすくなるんだとか。
- 汗はかいているのに、老廃物の排出はそれほど増えておらず「デトックスしたつもり」で終わる
- 全身が温まりきらず、冷えやむくみが慢性化しやすい
- 血のめぐりが悪いままで、疲労感やだるさが抜けにくい
- 自律神経の切り替えがうまくいかず、睡眠の質がイマイチになる
- 汗腺がほとんど使われず、暑さに弱い・熱中症リスクが上がりやすい
しかも、「汗=毒素が出ている」というイメージはとても強いのですが、実際には老廃物の多くは便や尿から排出され、汗から出ていく量はごく一部にすぎないことが指摘されています。
>>お風呂の迷信(6) 半身浴はデトクスにもならない?
だからといって、お風呂でのデトックスをあきらめる必要はありません。
むしろ、お風呂でしっかり体を温めることは、血流をよくして代謝を高め、結果として老廃物を尿や便としてスムーズに流す助けになると考えられています。
大事なのは、「なんとなく浸かる」のではなく、「どう入るか」「何をプラスするか」を工夫して、お風呂時間そのものを賢くデトックス寄りにチューニングしていくことです。
そこで今回の結論はシンプルです。
いつものバスタイムに「エプソムソルト(硫酸マグネシウム)」を足してあげること。
これだけで、お風呂での温まり方や汗のかき方、終わったあとのスッキリ感が変わりやすくなるんだとか。
エプソムソルトは塩ではなく、「硫酸マグネシウム」というミネラルの結晶で、水に溶けやすく無色無臭なので、自宅のお風呂にも使いやすいのが特徴です。
入浴用のエプソムソルトは通常、38〜40℃程度のお湯(約200L)に対して150〜300gほどを溶かし、15〜20分ほどゆっくり浸かると、体がじんわり温まりやすいとされています。
エプソムソルトが「お風呂でのデトックス」に向いていると言われる理由としては、次のようなポイントがあります。
- お湯に溶かすことで、入浴そのものの温熱効果を高め、血行促進や体温上昇を助けてくれるとされていること
- 小規模な研究ですが、エプソムソルト入浴で皮膚からマグネシウムや硫酸塩が吸収され、血中や尿中の濃度が上がったという報告があること
- マグネシウムは、肌のバリア機能に関わるセラミドの合成にも関わるとされ、肌コンディションのサポート素材としても注目されていること
- お風呂でしっかり体を温めて血流を良くすることで、代謝がスムーズに働き、疲労回復やだるさの軽減につながりやすいこと
いわゆる「毒素を汗からドバッと出す」というイメージよりも、「お風呂で全身をしっかり温めて、血のめぐりと代謝を整える」「そのサポート役としてエプソムソルトを使う」という捉え方のほうが、現在わかっている知見には近いといえます。
また、ワークアウト後のエプソムソルト入浴は、筋肉のこわばりをやわらげたり、リカバリーの一助として使われることもあります。
ただし、皮膚からマグネシウムを吸収して筋肉痛を直接やわらげる作用については、さらなる研究が必要とされており、「はっきり証明された」と言い切れる段階ではない、と専門家は述べています。
>>ワークアウト後にエプソムソルトのお風呂に入るメリット
つまり、エプソムソルトのお風呂は「ほどよい温度のお湯に浸かりながら、心地よく温まり、血流とリラックスを助けてくれる入浴法」として取り入れるのが現実的というわけです。
そのうえで、「体がポカポカして汗をかきやすい」「寝つきが良くなった気がする」「だるさが軽くなった気がする」といった変化を、自分の体で観察していくイメージですね。
ここまで聞くと、「じゃあ今日からすぐ試したほうがいいの?」という気持ちになると思います。
そして、その気持ちは正解かもしれません。
というのも、お風呂の湯船にエプソムソルトを足すことを先延ばしにするデメリットがあるからです。
それは、忙しさを理由にシャワーだけで済ませる生活が続くと、体が温まる機会が減って、血行不良や冷えがベースの状態として固定されやすくなるということ。
とくにデスクワークが多い人、運動不足を自覚している人ほど、普段から筋肉を動かす機会が少ないぶん、「お風呂でしっかり温まる」という時間が貴重なリセットタイムになります。
そのタイミングにエプソムソルトをプラスすることで、同じ時間でも「なんとなく浸かるお風呂」から「体のめぐりを意識したデトックス寄りのお風呂」に変えていけるのがポイントというわけです。
実際に取り入れるときの基本は、とてもシンプル。
- 38〜40℃くらいの、熱すぎないお湯にする(心臓への負担を減らしつつ、血行促進とリラックスを両立しやすい温度帯とされています)
- 湯量200Lに対して、エプソムソルト150〜300gを目安に溶かす
- 15〜20分を目安に、肩まで浸かったり半身浴にしたりしながら、のぼせない範囲で続ける
- 入浴前後にコップ1〜2杯の水分をとり、脱水を防ぐ
- 終わったら体を冷やしすぎないようにしつつ、そのまま寝る準備に入る
なお、どんなお風呂でも共通の注意点として、心臓病など循環器の持病がある方や妊娠中の方、体調がすぐれないときは、自己判断での長風呂や高温浴は避けましょうね。
また、やけど・傷・皮膚感染症がある場合や、湿疹・乾癬など皮膚の病気がある方、敏感肌の方は、エプソムソルト入浴を始める前に医師に相談することがすすめられています。
これまでの内容をまとめると、「お風呂でデトックス」という言葉だけを追いかけると、必要以上に汗を出そうとして長風呂になりすぎたり、サウナや岩盤浴で無理をして脱水になってしまったりと、かえって体に負担をかけることもあります。
でも、そうではなくて「体を安全にあたためて血流と代謝を整える」「そのサポートにエプソムソルトを活用する」という発想で、日々のお風呂時間を少しずつアップデートしていくイメージが現実的だということ。
今日のお風呂は、ただスマホをいじりながらなんとなく浸かる時間にしてしまうか、それともエプソムソルトを入れて「めぐりを意識したデトックス寄りのお風呂」に変えてしまうか。
同じ20分でも、積み重ねたときの体の感覚は、きっと違ってきます。
「お風呂はリラックスの時間でしょ?」と思っている人こそ、少しだけ入浴の入り方を見直して、エプソムソルトを味方につけたデトックス寄りのバスタイムを試してみてください。
「なんとなく重かった体が、ちょっと軽くなったかも」──そんな小さな変化が、明日の自分の元気につながっていくかもしれませんよ。
